STORY #12

暮らすように旅をする【Vol.2】

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AM5:50、いつもと同じ時間に起きる。
東京ではもうすでに明るくても、
経度の異なるこの場所では、まだ日の出前だ。
太陽が昇る前の快適さを楽しむには、今しかない。

スマホと小銭をポケットに、
浜比嘉大橋を目指して、ゆっくりと走り出す。

聴こえるのは、心拍数が上がり始めた呼吸と、地面を蹴る足音。
それと穏やかな波の音だけ。

先週のランニングコースは、地上9階にあるトレッドミル。
見える景色は、東京副都心のスクラップアンドビルドの街並み。


それが今日は、遠く水平線を見渡せる浜比嘉島の海だ。
ちょうど橋の真ん中で、朝日が昇る。

目的地は、浜比嘉大橋を渡った場所にある、コンビニ。

わたしには、20代から文通をしている友人がいる。
彼女は、旅先からいつも葉書をくれる。
中央アジアや中東、北欧、北アフリカ、日本とは違う文化圏から、
その地域の風土を纏った葉書が、海を越えて旅をする。
手に取ると、まるでわたしまでもがその地を訪れた気分になる。
判読できない消印の文字や、切手の図案など、異国の空気を味わえる。

今日はわたしが、彼女にこちらの空気をお裾分けする番だ。
昨日、413で撮った夕暮れ時の写真を、コンビニのマルチプリンターでポストカードにする。

すっかり朝日が顔を出した帰り道、
島は少しずつ目覚めはじめていた。

部屋にもどりシャワーを浴びた後、
ビールをのむ。
休暇中の特権だ。
これで本日の籠城が確定する。

葉書を書くためにCafeスペースに行くと、
伊計島の手ぬぐいを頭にかぶった青年とオーナーが話をしていた。
そこにご一緒させていただく。

彼は沖縄の消えゆく風景をフィルムに収めている、
地元の写真家だった。
地域のお祭りの様子だったり、街中で作業しているおばぁや古い歓楽街など、
彼の写真はどれも力強く、沖縄の魅力にあふれていた。

彼がフィルムに景色を写すように、
わたしも今日という日を葉書に写す。

SNSで1秒で共有するのではなく、
しかるべき時間を使って、友人に共有する。
葉書には、土地の風景印を押して。

遠く離れた彼女にも、
この日の穏やかな海の感じが伝わりますように。

地元の写真家【Instagram @tonaki_ing】

marie

WRITER

mariemarie

東京都都池袋在住。
ビールと音楽、それと旅先でぼんやりすることが好きな会社員。

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