STORY #10

【最果てに灯る宿】第9章 独自化とリブランディング

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第9章

独自化とリブランディング

コロナが一段落し、世の中が少しずつ動きを取り戻し始めた頃、私たちのもとにもさまざまな提案や誘いが舞い込むようになった。

「サウナを導入してみてはどうですか?」
「プールを作れば集客につながりますよ」
「電動キックボードなど、最新のアクティビティを入れると映えますよ」

確かに、それらは今の時代に受けがよく、目を引くアイテムだった。銀行や関係者からも同じような話が持ち込まれた。しかし、私たち夫婦の心は不思議と動かなかった。

競争して何かを付け加えることに、もう疲れていたのかもしれない。アパレルや音楽の仕事をしていたとき、誰かと比べられ、「差別化」という言葉を繰り返し突きつけられてきた。その感覚は十分に経験し、もうお腹いっぱいだった。

「比べる」から「ならでは」へ

そこで私たちは、逆の方向へ舵を切った。

「比べる」ことではなく「ならでは」を磨くこと。他の施設がやらないことを探すのではなく、自分たちらしいことを徹底的に深めていく。

まず客室には一台ずつレコードプレーヤーを置いた。滞在中に好きなレコードを手に取り、針を落とす。音楽が流れると、その空間は一瞬で自分だけの時間に変わる。

テレビはあえて撤去した。情報を追いかける日常から離れ、自然の音に耳を澄ませてもらいたかったからだ。

カフェには収納式のDJブースを設置した。チェックインの後、夕陽が沈んでいく時間帯に、ふと流れる音楽。そのさりげなさが、宿の空気をさらに特別なものにしてくれる。

島そのものが持つ価値

そして私たちが本当に誇りに思うのは、島そのものが持つポテンシャルだった。

サンセットに染まる水平線、夜空いっぱいの星、潮の満ち引きがつくる浜辺の表情、朝の鳥のさえずり。集落に点在する拝所や祈りの場、旧暦に合わせて営まれる島の行事。観光パンフレットには載らない小さな魅力を、気づけばお客様が教えてくれていた。

「朝の砂浜で裸足になって歩くと、すごく気持ちいいですよ」
「夜、部屋を出たら一面の星空に驚きました」

その声を聞きながら、私たちは「ここにある価値」を改めて知ることになった。

新しい取り組み

そこから新しい取り組みが始まった。

島を歩く「集落散歩マップ」を作り、浜比嘉大橋を渡る「大橋ウォーク」という体験を提案した。旅の前から楽しめるように、島に似合う音楽を集めたプレイリスト「ISLAND CLASSICS」と、その背景を綴るコラムを発信。さらに「耳で旅をする」コンテンツとしてポッドキャスト番組を立ち上げ、島の魅力を語るゲストを招く場も作った。(現在、機材トラブルの為保留してます。)

それはまさに、413 hamahiga hotel & cafe のリブランディングだった。

煌びやかな設備を持たなくても、この島にしかない魅力を形にし、伝えていく。私たちがやりたいのは、競争ではなく共鳴。施設を売るのではなく、浜比嘉島の物語を分かち合うこと。

Island Base / My Retreat Spot の思想

こうした流れの中で浮かび上がってきたのが、「Island Base(アイランド・ベース)」と「My Retreat Spot(マイ・リトリート・スポット)」という二つのキーワードだった。

Island Base とは

都会の喧騒から少し離れ、自分だけの拠点を持つという考え方だ。

浜比嘉島は、観光地化された西海岸とは対照的に、まだ静かで手つかずの自然が残っている。そこに足を踏み入れるだけで「帰ってきた」と思える。誰かの島ではなく、自分自身の島──そんな錯覚すら覚える感覚を、私たちは「Island Base」と呼ぶようになった。

My Retreat Spot とは

リセットや癒やしの場という意味合いを込めた。

日常から離れて、自分を取り戻すために訪れる隠れ家。サンセットを眺めながら深呼吸をする時間、星空の下で波音を聞きながら語らう夜、明け前のひととき。そうした小さな瞬間が、心を整え、生きる力をチャージしてくれる。

新たなストーリーへ

この二つの思想は、413のブランディングを支える大黒柱となった。

「ただ泊まる」場所ではなく、「自分の島」「自分のリトリート」を持つような感覚を提供すること。それが、私たちが目指す宿のあり方であり、浜比嘉島が持つ本当の可能性だと思う。

「Like no other」──どこにも似ていない場所へ。

Island Base と My Retreat Spot の思想を軸に、
413は新たなストーリーを紡ぎ続けている。

シーサー・ハマ

WRITER

シーサー・ハマSeaser Hama

413hamahiga hotel&cafeの物語を担当する守神 
シーサー浜と申します。
どうぞお見知りおきを。

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