STORY #9

【最果てに灯る宿】第8章 コロナ禍の特別な挙式

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コロナ禍での日常は、まだ制限だらけだった。挙式においても、マスクの着用やソーシャルディスタンスは避けられず、写真撮影のときだけマスクを外す──そんな不自然とも思える工夫が必要だった。それでも「結婚式を挙げたい」という想いが人々を突き動かし、私たちもまた、その願いに応えるために知恵を絞り続けた。

中でも、今も鮮明に心に残っているのは、両家の家族が参加できず、新郎新婦の二人だけで執り行われた結婚式だった。お客様を紹介してくれたのは「家族de旅コン」さん。コロナ禍の真っ只中で、通常なら両家の親族に囲まれるはずの時間を、二人は静かに、しかし力強く迎えようとしていた。

当日、ガーデンには心地よい風が吹いていた。青空の下、花の香りと潮の香りが混じり合い、島全体が二人を祝福しているように感じられた。参列者はいない。それでも、誓いの言葉を交わす二人の表情は晴れやかで、互いに向けられる視線には確かな絆が宿っていた。その光景を見守る私たちスタッフの胸にも、自然と熱いものが込み上げてきた。


別のある日には、雨に見舞われた挙式もあった。計画通りに進めることは難しく、時間をずらして撮影や進行を工夫するしかなかった。けれど、セレモニーの最後に新郎が口にした言葉が忘れられない。

「雨が降ってよかったです。これからの二人の人生には、きっと乗り越えられないほどの困難が降りかかることもあるはず。だからこそ、結婚式に雨が降ったことは、むしろロマンチックで幸運なことだと思います」

その言葉に会場全体が静まり返り、やがて大きな拍手が湧き起こった。私自身も、ただの天候不順が人生の始まりを象徴するメッセージへと昇華された瞬間に立ち会い、心を打たれた。


制約が多く、想定外の連続だったコロナ禍の挙式。それでも、いや、だからこそかもしれない。そこには華やかさを超えた、シンプルで真実味のある時間が流れていた。

焚き火を囲んで笑い合ったカップル、花火を夜空に打ち上げて未来を誓ったカップル。それぞれの選択が、島の自然と重なり合い、「ここでしかできない結婚式」のかたちを少しずつ描いていった。


浜比嘉島は、祝福の場であり続けた。マスクの奥の笑顔も、雨に濡れた誓いも──すべてがこの島に刻まれ、413にとってかけがえのない物語となった。

シーサー・ハマ

WRITER

シーサー・ハマSeaser Hama

413hamahiga hotel&cafeの物語を担当する守神 
シーサー浜と申します。
どうぞお見知りおきを。

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