STORY #11

暮らすように旅をする【Vol.1】

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8月、東京、池袋。
わたしは、レコードを選んでいた。

朝焼け、鳥の声、波のきらめきと一緒に。
午後、日陰になった芝生で、ごろんと寝転がりながら本を読むとき。
そして落日前、移りゆく空の色を眺めつつ、ゆっくりお酒を楽しみながら。
そんなすべてのシーンで耳を喜ばせてくれる1枚を。

もうこのときから、旅は始まっているのだ。

とびきりの1枚を手にしたわたしは、レコード屋さんをあとにした。

 

この夏、東京は上海やバンコクよりも湿度が高いというではないか。
外国人観光客らしき人、スーツ姿の会社員、学生の群れをくぐり抜けながらの帰路。
はやく冷えたビールがのみたい。

わたしは、この雑多な街で暮らしている。

【413はまひがHotel&Cafe】
ネットの大海原からここを見つけたときは、歓喜した。
離島にあり、客室数が少なく、部屋から海が見えること。
わたしが滞在先を決めるときに譲れない条件だ。

喧騒を離れ、自然がある場所で、のんきに暮らす。
日々の生活でそれを実現させるのは、わたしが暮らすこの街では難しいけれど、
旅先ではそれを叶えられる場所がいい。

413にはそのすべてが揃っていた。

しかもそれだけじゃない。
わたしの暮らしに欠かせない、音楽を聴ける環境が整っていた。
レコードを部屋で楽しむことができるのだ。

 

目の前に広がる眩いばかりの碧い海。
すきなレコードに針を落とし、冷えたオリオンビールをグラスに注ぐ音。
遠く、船のエンジン音。
そこにまざるように、自分で選んだ音楽が小さく重なる。

こうしてわたしはこの場所を滞在先と決め、
今回で3度目の来島となる。

9月末、わたしは羽田空港にいた。
もちろん行先は、413はまひがHotel&Cafe。

手荷物はお土産のレコード1枚、スマホ、財布。
あの日、レコード屋さんからの帰り道と同じだ。
滞在中に必要なものは、先に送ってある。
今回は、手ぶらで向かうのも旅の目的のひとつ。

暮らすように旅をする。
まるで近所のレコード屋さんの帰りに、ふらりと立ち寄るように。
1,600Km離れているけれど、それくらい日常の延長線上に、
この場所があるかのように振舞いたかった。

そんなわたしのささやかな望みなど、
当然ホテルスタッフは知るよしもない。
それなのに、お出迎えのことばは、
期せずして「おかえりなさい」だった。

わたしは、応える。
レコード1枚を片手に、笑顔で。

「ただいま」

marie

WRITER

mariemarie

東京都都池袋在住。
ビールと音楽、それと旅先でぼんやりすることが好きな会社員。

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