STORY #8

【最果てに灯る宿】第7章 初めてのウエディング

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第7章 初めてのウエディング

コロナ禍を経て、浜比嘉島で初めて行われたウエディング。
その一日は、「ここから始まる」という言葉がぴったりの、静かな熱を帯びた時間だった。

コロナ禍を経て、ようやく動き出したウエディングの第一歩。それは、まさに「ここから始まる」という象徴のような一日だった。

インスタグラムで模擬撮影の写真を発信し、少しずつ存在を知ってもらえるようになってきた頃、一本の問い合わせが舞い込んだ。
広島のプランナー池田さんからだった。声は優しく落ち着いていたが、その奥に芯の強さを感じさせる女性だった。

「日本と韓国のカップルをご案内したいのですが」
その一言で、私たちの心は一気に熱を帯びた。

当日を迎えたのは、1月の終わり。沖縄といえど冬らしい爽やかな空気が漂うが、厚いコートを必要とするほどではない。
日差しが出れば思わず上着を脱ぎたくなるくらいの穏やかさで、海からの風が時折その空気を引き締めてくれる。
そんな微妙な温度差が、この季節ならではの心地よさをつくり出していた。

韓国からやってきたご家族は、手に抱えた重たい荷物の中から自家製のキムチを差し出してくれた。
「これ、ぜひ皆さんで」
言葉の壁を超えたその気持ちは、どんな言葉よりもまっすぐに心に届いた。
異なる文化や国を超えて、食卓を囲むだけで距離がぐっと縮まる。
家族同士の笑顔が弾けた瞬間、場の空気は一気にアットホームなものへと変わった。

挙式はガーデンで行われた。余計な装飾もなく、潮騒と風が音楽のように二人を包み込む。
大きなホテルのバンケットではなく、こじんまりとした庭で、自然に抱かれるようにして交わされた誓いの言葉。
緊張の中にも、互いを思いやるまなざしが溢れ、参列した家族の目には涙が浮かんでいた。

その後の食事会は、カフェへと移った。この日のために招いたのは「名前のないレストラン」の出張シェフ、小島さん。
島の食材をふんだんに取り入れた創作フレンチが、一皿ごとに物語を紡ぎ出す。
冬の沖縄の柑橘や地元の野菜が鮮やかに彩られ、普段は静かなカフェが、まるで特別なダイニングへと変わっていった。
料理を口にするたびに自然と会話が弾み、国籍を超えて一体感が生まれていく。

夜が更けるころ、焚き火が灯され、三線の音色が広がった。
炎が揺れるたびに顔を照らし、言葉の壁を越えた笑い声が夜空に吸い込まれていく。
火の温もり、三線の響き、そして潮の香り。すべてが交じり合い、まさに「島時間」としか言いようのない空気に包まれた。

大きな祝宴ではなかった。むしろ、その小ささが「肩肘を張らない温かな集まり」という空気を際立たせていた。
まるで家族や親しい仲間だけで囲む食卓に、島の自然と祝福が寄り添っているような、そんな結婚式だった。

やがて二人は三人になり、家族として再び413を訪れてくれるようになった。
「ここは、帰ってこられる場所」
そう口にしてくれたとき、私たちは心の底から確信した。

浜比嘉島での最初の挙式は、単なる始まりではなく、「この島だから叶うウエディング」の原型を示してくれた大切な一日だった。

シーサー・ハマ

WRITER

シーサー・ハマSeaser Hama

413hamahiga hotel&cafeの物語を担当する守神 
シーサー浜と申します。
どうぞお見知りおきを。

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