STORY #5
【最果てに灯る宿】 第2章 深まる絆
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音響から始まった関係は、いつしかウェブへ、そして運営の伴走へ。七夕のオープンをめざす準備のあいだに、互いの信頼は静かに深くなっていった。 石原さんとの出会いから間もなく、私は音響だけでなくウェブサイト制作も任せてもらえることになった。「オープンに合わせてサイトを立ち上げたいんです」。七夕の日を目標に、東京と沖縄をつなぎながら準備が進んでいった。 当時、私はアパレルショップや音楽の仕事を抱えつつ、ニューヨーク出張の合間にメールでやりとりを重ねていた。深夜のホテルの一室で、時差を感じながら原稿を確認し、修正を入れる。画面に映る「413hamahiga hotel&cafe」のロゴを整えながら、不思議な感覚に包まれていた。単なる仕事以上のものが、このプロジェクトにはある──そう思えてならなかった。 2013年7月7日。「413hamahiga hotel&cafe」はついにオープンの日を迎えた。私は現場に立ち会うことはできなかったが、後から届いた写真には、芝生に集う人々の笑顔、デッキから広がる夕暮れの海、カフェに響く音楽が写し出されていた。スクリーン越しに見ても、その場に流れる空気の温かさは伝わってきた。 オープン後、私は継続的にウェブやSNSの運用をサポートするようになった。「広告の成果が出ていますね」。税理士からもそんな言葉をもらうほど、宿泊者は少しずつ増えていった。予約のメールが届くたびに、離島の小さな宿に人が流れ込み、新しい時間が積み重なっていくのを実感した。 月に二度ほど浜比嘉へ通い、東京から石原さんが来るタイミングでミーティングを重ねた。「次はガーデンをもっと活用したいですね」「宿泊のお客さまが音楽を楽しめる仕掛けを考えましょう」。打ち合わせはいつも前向きで、未来に向けた熱量に満ちていた。 やがてホテルの仕事だけでなく、石原さんの会社の仕事を手伝う機会も増えていった。東京での案件や、地方でのプロジェクトに同行する中で、日常では得られない経験を積むことができた。その過程で学んだのは、段取りや技術以上に「信頼がすべてを動かす」ということだった。石原さんは迷わず前へ進む人であり、その姿勢から多くを吸収させてもらった。 そうしているうちに、気づけばオープンから4年の月日が流れていた。島へ通う道のりはすっかり生活の一部になり、当初は新鮮だった海や空の景色も、今では自分の原点を確かめるような存在になっていた。 しかしその頃から、夏の繁忙期を過ぎると、現場には少しずつ疲れが見え始めていた。日常業務に追われ、小さな課題が積み重なり、次第に雰囲気もぎくしゃくし始めていた。私は石原さんとスタッフの間に立ち、調整役を担うことが増えていった。 「もっとこうすればいいのに」「でも現場には現場の事情がある」。板挟みの中で、私は少しずつ、この場所に対する自分自身の立場を考えるようになっていった。最果てに灯る宿
第2章 深まる絆




WRITER
シーサー・ハマSeaser Hama
413hamahiga hotel&cafeの物語を担当する守神
シーサー浜と申します。
どうぞお見知りおきを。
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